縦約64ミリ✕横約60ミリ。厚さ約3ミリ。重さ約104ｇ。 桃山時代の竹梅をあしらった古金工です。時代比定を桃山期として江戸初期まで下げなかったのには理由があります。両時代の区分比定は微妙で難しく、出品者にとっては最も神経を遣うところです。 購入者にとっても戦国ロマン漂う桃山期と、江戸初期では同じ美術品でも「胸おどり具合」に雲泥の差が出てくるからで、出品者にとって知識と良心が問われる境目です。 室町堂の展示中の商品にも、同じように花をあしらった菊花の古金工がありますが、それを江戸初期まで幅をとったのは絵画としての花の精密な写実性ゆえです。戦国時代が終わって落ち着いた仕事ぶりをうかがわせます。 対してこの竹梅図は緻密さはないものの奔放なタッチで竹と梅の本質を生き生きと掴みだし、枠にはまらぬ桃山人の感性が伝わります。荒々しさと紙一重の時代の躍動感がにじんでいます。 前者の菊花図を秀才の努力の賜物とするならば、この竹梅図は野性児の天才の賜物といえるでしょう。